論文・学会発表
日本胚移植技術研究会2023
10/26日から10/27日に群馬県で開催された第7回日本胚移植技術研究会に参加してきました。シンポジウムのメインテーマはゲノミックに関する内容でした。家畜改良事業団の絹川先生より、種雄牛を選抜する上で、低受胎牛を予測する方法の紹介がありました。低受胎率雄牛は、精液活力等の性状に問題があるのではなく、200μm/秒で移動できるエリート精子数が少ないこと、そして次世代シークエンサーのゲノム解読によって5番染色体の1塩基多形(SNP)を発見したことを紹介頂きました。30億塩基対の中から1つのSNPを発見し、形質を検証していく作業は、先の遠くなるような作業で、頭が下がる思いでした。現場での受胎率向上の背景にはこのような専門家の先生のご尽力があって成り立っていることを改めて感じました。演題に関しては受精卵産生や受胎率の向上を目的としたin-vitro下での操作技術の検討やプログラムや移植対象牛の選抜方法を検討した研究演題がありました。今後、乳成分値といった最も身近な情報を使って、受卵牛の選抜に活かせれば望ましいと思います。また、胎児期の母牛の栄養状態によって、出生後の卵胞数が決まることが報告されており、その検証研究が印象に残りました。弊社もドナー選抜時に卵胞数をチェックしています。経腟採卵も3年目となり、ドナー候補牛は経産牛の移植産子である個体が増えています。胎児期の母牛の栄養状態と、産子の卵胞数について、乳検データ等を使用して比較検証していきたいと思っています。今後、検証すべきことがクリアになり、大変刺激を頂いた研究会となりました。
大久保